あおいひかり


ひざをついていのるひと
ことばをかわさずにすれちがうひとびと
あおいひかりにみちびかれて
あるく
ただ
あるく
がれきのまちをぬけて
ことばが
しずんでゆけばゆくほど
みしらぬあなたにふれたくなる

にくしみは
しずかに
ざんこくに
くりかえし
あなたをわすれたひとびとを
ほんのすこしだけさげすんで
みしらぬなまえをさけぶ 

きのうのおもいで
おもいだせず
ひとさしゆびにゆびわ
ひかるひとが
そらをみあげている
とおくにひかる
あのひかりが
ひとをころしているなんて
とてもしんじられない
すこしでもうつくしいとおもった
じぶんをはじて
あるく
ただ
あるく
がれきのまちをぬけて

しっていたろうか
ちいさなみずのわきでるところ
こどもたちがあつまって
うずくまるろうばにてをさしのべていた
うけとめれば
それは
なにかのだんぺんのようで
とめどなくなみだがあふれた

あるく
ただ
あるく
あいについてなにもわからないのは
だれもがおなじで
けれどわたしはあなたにふれている
このせかいにうまれおちたときから
あなたのてのなかにある

みしらぬあのひとはいって
あおいひかりのほうへとあるいてゆく

あるく
ただ
あるく
どれだけのきょりをあるいて
どれだけのできごとをうれいて
どれだけのいつくしみをうけいれて
どれだけのつみをおかして
どれだけのひとをきずつけて
どれだけのやさしさにふれ
たびをつづけてきたかはわからないが
ずっとこたえのないといをくりかえしてきたようでした

くびをすぼめて
あなたはほほえむ
しわとしわのあいだから
ゆげ
あたたかないきをくちびるから
わたしのてのひらをちからづよくにぎって
ポケットからちいさなきのみをとりだすと
わたしのてのひらにそのきのみをそっとのせた
とおくにあおくひかるばしょをみつめながら

あるく
ただ
あるく
わたしのみちを
あおいひかりにむかって
とおいきおくのあのばしょへ
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