貝殻と雪


朝起きて、
窓を開けると雪が降っていた。

昨日の夢の中で出会った人は
「小さな貝殻をたくさんあつめています。」
と僕に向かって静かに微笑んだ。

貝殻と雪。

僕の住む街では、まずつもることのない雪。
海に面していない僕の住む地域では、
まず見る事のない本物の貝殻。

2月になると僕は沢山の思い出の中の一つを思い出す。

雪に埋もれた貝殻を拾って、
夜空に放り投げたのは昨日の夢の中。

貝殻と雪。

僕らはいつだって死の重さを欠いているのに、
そのことに気付かないまま自由でありたいと望むのだ




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