さまよううた


花は咲きます
草の陰から
月夜の果てに
遠い異国の土のうえ
手にした鍵を携えて
夜の終わりを探す旅


星が降ります
山のうえから
麓の町に
猫の足跡たどる鈴
遠い夕日のさざめく波と
銀紙チョコの甘い蜜


船は発ちます
森の奥から
夢喰う土地へ
琥珀色した蛹の住処
長いお別れ幾年か
彷徨う御霊を紡ぐ朝


空が哭きます
雲の影から
冥土の風に
蒼い宵闇海のそこ
無くした靴の思い出が
夜のとばりに沈むとき





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